ウクレレキッズクラブジャパンに、心温まる大きなギフト!

日本を代表するギター& ウクレレ製作家の吉田丈二さんから

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吉田丈二さんは、世界的に著名なアコースティックギター&ウクレレの製作家です。横浜出身で、カナダの著名な弦楽器製作家の下で学び、現在は沖縄に在住しています。

1か月に1楽器を目標に、ギターやウクレレを1つ1つの工程に多くの時間と細心の注意を払いながら、ひとりで丁寧に作り上げていきます。丈二さんは、ハワイアン音楽を愛する素晴らしいミュージシャンで、その経験も彼の楽器に生かされています。

高品質の材料を厳選し丹精込めて作る丈二さんが作る弦楽器は国内外から高く評価され、魅了された多くの人がカスタムオーダーし順番を待っています。

2017年には、丈二さんを含む世界的に著名な6名のアコースティックギター&ウクレレの製作家が集まり “Luthiers for a Cause”( https://www.luthiersforacause.org/)を結成し、多額のウクレレの売り上げ利益をウクレレキッズクラブ(UKC米国本部)に寄付しました。

今回は丈二さん単独で、UKCジャパンへ寄付のため、つまり日本の子供たちのために、貴重な時間をさいて再び最高級のウクレレを作ってくれました。

どんなウクレレだったのでしょうか。

表板は左右対称の杢目が美しいベアクロー・シトカ・スプルース、側板にはアフリカ黒檀が使用されています。そして裏板は最高級のマホガニー、1965年にホンデュラスのジャングルで切り取られた有名な”The Tree”と呼ばれる希少かつ高価で入手困難な特別な木材です。これらの最高級の木を、伝統的フレンチポシッシュで時間と手間をかけて塗装し磨き上げています。そのほか、全ての部品に最高級の素材を用い、丹精込めて作り上げた希少なテナーウクレレが2019年秋に誕生しました。このウクレレから奏でられる温かな美しい響き、そこには丈二さんの心がこもっています。

展示会等を経て、2020年3月にハワイのウクレレ専門店のウエブサイトで販売開始したところすぐに買い手が現れ、その利益の大半をUKCジャパンに寄付いただきました。

この丈二さんの温かい心が、当クラブのウクレレを通して1人でも多くの日本の闘病中の子供たちに届き、少しでも心のケアに役立ちますように、心から願っています。

感謝と共に、ウクレレキッズクラブジャパン

また吉田丈二さんは、当クラブのために特別にインタビューに答えてくれました。

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吉田丈二さん、特別インタビュー 「どんな経緯で楽器の製作家に?」

――音楽や楽器との出会いについて教えてもらえませんか?ご家族も音楽好きなのですか?

中学1年生の時にボンジョヴィやヴァンヘイレンなどの洋楽ロックが好きになり、エレキギターを弾き始めました。母が家事の最中に美空ひばりを口ずさむ程度で、特別に音楽好きな家庭というわけではなかったです。

――慶應大学卒業とのことですが、大学では何を専攻してどういう仕事につこうと思っていらしたのですか? 

「環境情報」という新しい学部に在籍していました。日本の大学は戦後いわゆる「専門馬鹿」を育成してしまってきたことの反省から、複数の分野を横断できる人材を求めていたんです。「環境情報」といっても、まあ一般教養みたいなもので、その中でもある程度専攻を決めることができたので、イスラム文化とアラビア語を主に勉強していました。在学中に研究会の生徒同士でシリアのアレッポ大学に2週間ほど語学留学したこともあります。

中途半端にバンドをやっていたため進路を決めることができず、卒業後はアルバイトや派遣社員を転々としていました。有名旅行代理店などにも就職しましたがどこも長続きしませんでした。狭く浅く、偉そうな言い訳だけを並べて何もしていない、何の分野も横断できない最悪な若者だったと思います。

――そこから、ギターやウクレレの製作家にどうつながるのでしょうか?

30代半ばで仕事を辞めたタイミングで借家を引き払い、自由の身になったんです。そこで以前から興味のあったカナダのギター製作クラスに参加しました。その時点で製作を職にする強い決意は無く、帰国後まず1本作ったら売れて、また1本作って売れての繰り返しで、自然の流れで製作家になっていった感じです。

――なぜカナダの巨匠といわれるサーゲー・ディヤング(Sergei De Jonge)を選んだのですか?

木材を最大限に生かしながら実用的な楽器を作っている点が、技巧に走った美術品を作る製作家と違って魅力的でした。あと定期的にクラスを開催し技術を公開してるため、木工経験ゼロの自分でも参加できるなと思ったからです。

――実際に行ってみてどうでしたか?どれぐらいの期間、カナダにいらしたんですか?

自力で1本のギターを作ることの大変さを実感させられました。同時に、工場で大きな機械が無いと作れないものと思っていたギターが実は1人で手作りできるし、大量生産品には無い魅力を込められることを知りました。2010年と12年の2回クラスを受講したので、トータルで3か月いました。

――なぜ、いつから沖縄に在住しているのですか? 

カナダから帰ってきた時に住む場所もなく、どこに越しても良かったんです。沖縄は過去に旅行で何度も訪れ、良い場所だと思っていたので、どこにでも住めるなら一番好きな場所にしようと、2012年秋に単身永住しました。


――ハワイにもよく行かれているようですが、アメリカにも行かれましたか?

父がJALのパイロットだったので、幼少時からアメリカにはよく連れていかれました。ただ帰国子女ではないので英語は苦手だったんです。それを克服するためにひたすら勉強し、英検1級に合格して翻訳の仕事ができるまでになりました。ギターは長年弾いてきたことで、ロック以外でもそこそこ弾けたんです。20代半ばの時、湘南のハワイアンバンドに誘われ、それ以降いろいろなイベントに呼ばれ演奏してきました。ハワイアン音楽を介してつながる前は、ハワイはギャルがブランド品を買い漁りに行くだけの“ちゃらい”観光地で、生涯関わることは無いと思っていました。中東やインド、東南アジアなどを一人旅していましたから。


――工房の写真でLFAC(“Luthiers for a Cause”)のTシャツを着ていらっしゃいますが、参加されたいきさつなど教えていただけませんか? 

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6 名の製作家うちの 1 人のジ ェ イク ・ マクレイ (Jake Maclay) が 声 をかけて くれたんです。 「 子供 達 のために 1 秒 も 躊躇せず に 参加 した 」 と 言 いたいと ころですが、 実際 は 2 ~ 3 日 考え ました ( 笑 ) 。 寄付ができるほど経 済 的に 余 裕 が あ る わ けでもないし、 未来 を 担 う子供 達 と手をつないでコーラスする マイ ケ ル ・ ジャク ソ ン み たいな 偽善者感 すら 感じ ていたんです。 LFAC について 詳 しくは、ウエブサイトを 見 てください (https://www.luthiersforacause.org/) これ 以前 に 自分 がした寄付とい え ば、 ネ パール 地震 の 被災者支援箱 に 千円 札 を 入れたくらいしか 記憶 に あ りま せ ん。でもウクレレキッズクラブに 関 わ れて 良 かったと 思 っています。 僕 が人生で 行 った 数 少ない 善行 の 一 つで す。 ( 笑) 沖縄の子供たちにも、ウクレレが 届 くことを 願 っています。


――沖縄でギターとウクレレを製作するかたわら、演奏も続けていらっしゃいますか?

コロナ以前は毎週末のように演奏していましたが、今はSNS上での動画配信だけを続けています。終息したらまたライブをやりたいですね。


――よかったら、身近なビデオを紹介いただけませんか?

僕のYouTubeチャンネルにいくつか演奏動画を上げているので観てみてください。

youtube.com/channel/UCQTkL2kX-TFZ3YLY2UEHoAg/videos



吉田丈二さん、ありがとうございました。今後もお元気でますます素晴らしいウクレレとギターを製作してください。そしてその美しく温かい音色が多くの人々の心に届きますように!

2020 年 7 月  感謝 と 共 に、ウクレレキッズクラブジャパン

Toshiko Morris